退職祝いのお返しは、基本的は必要ありません。
とはいえ、今後のお付き合いを考えてお返しをしたいケースや、貰いっぱなしでは気が引けると考える人もいるでしょう。

ここでは、退職祝いにお返しをするときのマナーや品物の選び方、お礼状の書き方など、退職祝いのお返しについてご紹介します。


退職祝いのお返しは基本的に不要

退職祝いのお返しは基本的に不要ですが、後日必ずお礼状を送るようにしましょう。

退職に際しては、「お返し」としてではなくお世話になった職場への「お礼」として、茶菓子などを贈ることが一般的です。

お返しをした方がよいケース

次のようなケースではお返しをすることもあります。

  • お返しをしたいとき
    「高額な贈り物をいただいたので気が引ける」「貰いっぱなしは失礼な気がする」などの考えがある場合は、お返しを贈ってもかまいません。
  • 他のお祝いを兼ねているとき
    還暦祝い、結婚祝い、出産祝い、開店・開業祝いなど、他のお祝いを兼ねて金品をいただいたときはお返しをするのがマナーです。
    結婚祝いを兼ねたケースでは、結婚式・披露宴に相手が出席しないときにお返しを用意するとよいでしょう。
    開店祝いや開業祝いを兼ねたケースでは、パーティーやお披露目会に相手が出席しないときにお返しを用意するとよいでしょう。

退職祝いのお返しを贈る時期

退職祝いのお返しは、遅くとも退職後1か月以内に相手の元へ届くように贈りましょう。
職場の人に対しては、退職日当日に持参してもかまいません。

退職祝いのお返し金額の相場

退職祝いのお返し金額の相場は、いただいた金額の半額から3分の1程度が目安です。

高額なお祝いをいただいた場合は、3分の1または4分の1程度を目安にするとよいでしょう。高額な贈り物に対して半返しをすると、半額でも高額なお返しになることが予想されるため、贈り物を突き返されたような印象を与えることにもなり兼ねず、かえって失礼となるため注意が必要です。

退職祝いのお返しの品は何を贈ればいい?

退職祝いのお返しの定番は「消えもの」ギフトです。
「コーヒー」「紅茶」「お菓子」などの飲食物や、「入浴剤」「タオルハンカチ」「マグカップ」などの日用品雑貨がよく選ばれています。

職場、取引先へ贈る場合

職場や取引先へ贈る品物は、みんなでシェアできるお菓子の詰め合わせが人気です。

●詰め合わせのお菓子を選ぶときのチェックポイント●

  • 内容量が多く、きちんと人数分が入っているかどうか
  • 中身が個包装されているかどうか
  • 手を汚したり皿を出して切り分けたりせず、ランチタイムや休憩中にササっと一口で食べられるかどうか
  • 日持ちする(賞味期限が長い)かどうか

職場へ贈る品物は、「退職祝いのお返し」というよりは「お礼」や「挨拶」の意味合いで贈るケースが多いため、アットホームな職場では、故障したり古くなったりしている備品(コーヒーメーカー・湯飲み・コースターなど)をお礼として贈るケースもあります。

人数が少ない職場や一人ひとりに挨拶して回りたい場合には、お菓子やミニタオルなどの「プチギフト」もおすすめです。安くて見栄えのするオシャレな物が多いため、お配りギフトに適しています。

職場、取引先の「個人」へ贈る場合

個別に退職祝いをいただいたときのお返しは、タオルハンカチ、ハンドクリーム、菓子や入浴剤のプチギフトなど、実用的でさりげない贈り物が人気です。

趣味嗜好やライフスタイルを知っている相手であれば、相手の好みにあわせた贈り物を選ぶと喜ばれるでしょう。とはいえ、高額な品を選んで相手を恐縮させないよう、いただいた金額の半額から3分の1以内におさまる金額で選ぶことが大切です。

目上の上司や先輩へお返しを選ぶ場合は、NGとされる贈り物もあるため注意しましょう。例えば、ボールペンや万年筆などの筆記具には「より勤勉に」という意味があるため、目上の人への贈り物では避けた方が無難です。

また、お返しの品にはメッセージカードを添えると、より丁寧で感謝の気持ちが伝わるお返しになります。

親族、知人などへ贈る場合

会社関係以外の人から退職祝いをいただいたときのお返しは、菓子・食品ギフト、生活雑貨・タオルギフトなど、定番のお返しギフトが人気です。相手の趣味嗜好やライフスタイルに合わせたお返しを選ぶとより喜ばれます。

家族ぐるみでお付き合いのある特に親しい間柄であれば、食事会に招待するのもよいでしょう。

退職祝いのお返しにつける熨斗(のし)の書き方 <水引・表書きのマナー>

水引の種類 紅白の蝶結び(花結び)
のし紙・のし袋の表書き

■退職全般
「御礼」「お礼」「ありがとうございました」「お世話になりました」

■結婚祝いと兼ねていただいたとき
「結婚内祝」

名前の書き方 下段には、送り主の姓(または姓名)を記載します。
※ 字の大きさは、上段より心持ち小さめに書きましょう。

●書き方の見本●

「御礼」と書く場合

のし紙の表書き:「御礼」の見本

退職祝いのお礼状(お礼の手紙)の書き方と文例

退職祝いのお礼の手紙は、送る時期を逃さないことが大事です。
お世話になった職場・取引先へのお礼、贈答金品をいただいたお礼、送別会を開いてもらったお礼など、退職に際して送るお礼の内容はさまざまですが、感謝の気持ちがしっかり伝わる手紙になるよう丁寧に書きましょう。

お礼状を送る時期とポイント

贈答金品をいただいたお礼

祝い金や贈答品をいただいた際のお礼の手紙は、できるだけ早く(その日のうちか遅くても2~3日以内に)送ることがマナーです。

贈り物への感想を具体的に書いたり、現金や商品券をいただいた場合はその使い道を書いたりして、喜びと感謝の気持ちを伝えるとよいでしょう。

贈答金品へのお礼だけでなく、身内や友人であれば日頃からお世話になっているお礼を、仕事でお付き合いのあった相手には在職中にお世話になったお礼も忘れずに書いて、今後のお付き合いを願う言葉を書き添えます。

お世話になったお礼

お世話になったことへのお礼状(挨拶状)を書く場合は、退職後~1か月以内を目安に送ります。

在職中のエピソードを交えてお礼の内容を具体的に述べることでより深く感謝を伝えることができますが、エピソードは一つに絞って書きましょう。長々と思い出話を書き連ねてまとまりのない文章にならないように注意することが大切です。

また、就職活動中や在職中に特にお世話になった人や助言をくれた人に対しては、退職が決まった段階で早めに知らせるのが礼儀です。自己都合退職において、就職の斡旋を受けたにも関わらず短期間で中途退職するような場合は、退職理由を明確にしてお詫びの言葉も書き添えましょう。

転居の予定がある場合には、連絡がとれる新住所の記載も忘れずにしておきます。

お礼状の基本構成(手紙の順番)

退職祝いのお礼の手紙見本(縦書き)

  1. 頭語
    • 「拝啓」「謹啓」「前略」などの挨拶言葉を書きます。
    • 親しい相手への手紙を書く際、形式を優先させることで、かえって事務的な印象を与えたり他人行儀でよそよそしい印象を与えたりしかねない場合は、「こんにちは」「〇〇さん」のような書き出しにしても構いません。
    • 退職祝いの手紙に対する返事として書く場合は、「拝復」「復啓」「お手紙拝見いたしました」のように書くこともできます。

     ↓

  2. 時候の挨拶、安否の挨拶、お詫びの言葉
    • 時候の挨拶とともに、安否の挨拶や感謝の挨拶を書きます。
      • 時候の挨拶・・・季節ををあらわす挨拶(例:「立春の候」「立春とは名ばかりの厳しい寒さが続いておりますが」など)
      • 安否の挨拶・・・相手の健康状態や近況を聞いたり、自分の近況を知らせる言葉(例:「お元気ですか?」「いかがお過ごしですか?」など)
      • お詫びの言葉・・・お礼が遅れてしまった場合は、ここでお詫びの言葉を述べます。
    • 頭語で「前略」を使用するときは、時候の挨拶や安否の挨拶は省略します。

     ↓

  3. 職場でお世話になったお礼や、贈り物へのお礼・感想など
     ↓
  4. 今後の計画、抱負
     ↓
  5. 御礼の品(お返し)を送るときはその旨を記す
    • 別便で贈り物をするときは、別送したことや到着予定日を記します。
    • 同梱するときは、手紙の封をせず添え状として同梱します。荷物とは全く関係ない内容の手紙を書いたり、封を閉じた手紙(信書)を同梱したりする行為は違法となるため注意しましょう。

     ↓

  6. 結びの挨拶
    • 今後の活躍、健康、多幸、会社の発展などを祈る言葉を書きます。

     ↓

  7. 結語
    • 「敬具」「草々」「かしこ」などの挨拶言葉を書きます。

     ↓

  8. 日付
    • 行頭から2文字分ほどあけて、年号と月日を書きます。親しい相手に送る手紙は、月日のみでも構いません。
    • 縦書きの場合は、和暦(例:令和〇年)を用い、漢数字で書きます。
    • 横書きの場合は、和暦または西暦(例:2000年)を用い、算用数字で書きます。

     ↓

  9. 署名
    • 行末に、自分の名前をフルネームで書きます。

     ↓

  10. 宛名
    • 行頭から、相手の名前をフルネームで書きます。
    • 名前には必ず「様」などの敬称をつけ、本文や署名より心持ち大きい文字で書きましょう。
    • 横書きの手紙は、手紙の冒頭に名前を書きます。

退職祝いのお礼状(お礼の手紙)の文例

【文例1】お世話になったお礼(結婚退職、職場へ)

前略 ○○営業部の皆様、先日は心温まる送別会と過分なお祝いを頂戴いたし、誠にありがとうございました。
 在職中の○年間は、皆様の温かいご指導ご支援のおかげで実り多き充実した日々を過ごすことができました。
 この度は私の一身上の都合により多大なご迷惑をおかけしたにも関わらず、身に余る温かいご祝辞や励ましのお言葉をいただきましたことに改めてお礼申し上げます。
 その後、○○県に移り住み、新生活をスタート致しました。皆様からの貴重なアドバイスを活かし、温かな家庭を築いていきたいと思っております。お近くにお越しの際はぜひお立ち寄りください。
 末筆ながら、皆様のご健康と、○○営業部のさらなるご発展心よりお祈り致しております。

敬具 

 令和〇年〇月〇日

山田 花子(旧姓 鈴木) 

株式会社△△ 人事部の皆様

【文例2】お世話になったお礼(中途退職、取引先へ)

拝啓 ○○の候、皆様におかれましてはますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
 さて、私こと ○月○日をもちまして一身上の都合により株式会社△△を退職いたしました。在職中は、公私にわたり格別のご厚誼を賜り厚く御礼申し上げます 。
 今後は、□□会社に移り、気持ちを新たに一層精励いたす覚悟でございますので、何卒引き続きご支援ご厚情を賜りますようお願い申し上げます。
 まずは略儀ながら書中をもちまして御礼かたがたご挨拶申し上げます。

敬具 

 令和〇年〇月〇日

株式会社△△ 営業部 
山田 太郎 

株式会社□□ 人事部
佐藤 正夫 様

【文例3】贈り物をいただいたお礼(定年退職、知人へ)

○○○○様
 若葉萌ゆる好季節、ご家族の皆様にはその後いかがお過ごしでしょうか。
 先日は、私の退職にあたり、心温まるお便りと結構なお祝いの品を頂戴いたしまして、ありがとうございました。
 時が経つのは早いもので思えばあっという間の○○年間でございましたが、おかげ様で大過なく勤めを果たすことができましたことを心から感謝いたしております。
 ○○様には、入社当時より何かと相談に乗っていただき本当にお世話になりました。
 今後は、皆様からいただいたご恩に報いることができますよう、感謝の気持ちを忘れることなく第二の人生を有意義に歩んで参りたいと思っております。
 どうか今後ともよろしくお付き合いくださいますようお願い申し上げます。
 暑い季節に向かいますが、くれぐれもお身体を大切にお過ごしください。
 取り急ぎお礼まで。

敬具 

 令和〇年〇月〇日

山田 太郎 

佐藤 正夫 様